青い鳥
みずみずしい水 みずくさい水

作・演出 市堂令
出演 芹川藍/天光真弓他
柏高島屋SPACIUM
6/12(金)〜14(日)
玉川高島屋アレーナホール

●葦葉克馬

初日通信の原稿書きに活躍しているのは、X68000というパソコンである。 こいつはゲームも楽しめる(そっちがメインだという話もあるが)。最近、MA C用のゲーム“シムアース”が移植され、さっそく手に入れた。地球がひとつの 生命体のように、酸素や水の循環機能を持っているというガイア理論を取り入れ、 生命の進化と環境をシミュレートしたソフトである。こいつは惑星の誕生からシ ミュレーションができて、例えば、海を増やすためには隕石をぶつける事が効果 があるという意外な事を教えてくれたり、植物と動物がバランス良く生きていく ためには、大気中の酸素と二酸化炭素の割合にも注意をしなければならなかった りする。もう既に石器人を全滅させたりと、環境問題には、悩まされっぱなしな のだが、遊びながら考えさせられるという点が気に入っている。

さて、青い鳥の「みずみずしい水 みずくさい水」もそんな楽しみながら環境 問題を、という公演なわけだが、やっぱり芝居として楽しく見せてくれないと、 苦しい。日本から“危機体験ツアー”に出た青い鳥の面々が、アフリカの砂漠を 経巡り、最終地のタクラマカン砂漠にたどり着いたという設定で、最後の晩餐に カレーが振る舞われる。カレーと言えば、水が欲しくなるところなのだが、既に 蓄えの水は底をついている状態。これは水がないという体験を最後の砂漠でしよ うというツアー・コンダクターの計らいで、水がないことの辛さを彼女たちがさ んざん味合わされる事になる、というのが、芝居の部分だ。

確かに面白おかしく水のないことの辛さを、見る者に伝えてはいる。しかし、 これでいいのかという疑問が強いのも事実だ。先のゲームのように、自ら進んで 環境問題について興味を感じていくという自然な道筋ではなく、やはり一方的な 啓蒙に終わっていると思う。“危機体験ツアー”などの設定も、たわいがないと 言えば、それまでなのだが、もっと観客とのコミュニケーションをとる方法論は あるはずだ。タイトルを今思い出せないのだが、過去にはシアターアプルでやっ た時のように、観客をうまく芝居に巻き込んだ成功例もある(あの時も確かカレー だった)。そういった仕掛けがない分、今回は見ていて辛い。

一方で、今回の公演の目玉であった濱田隆士教授の講演は、面白く見せること ができた。らくだに乗って出てきたり、さらに演劇的なセットの中、サファリ・ ルックでおしゃべりするという、こちらは見ていて楽しい講演となっている。濱 田教授の講演を聞こうと思っている人にはマルだが、青い鳥の公演を見ようと思っ ている人には辛い公演である。(92年6月7日ソワレ、1h40)

■白石加代子ひとり語り「百物語」はやはり怖い。彼女のキャラクターが生きた のは、筒井康隆の「如菩薩団」と半村良「箪笥」。主婦の強盗団を扱った「如菩 薩団」は、主婦たちをコミカルに演じ分けるという、普段の彼女からは想像でき ないようなスラップスティックなコメディになっている。円朝の怪談話のように 高座に仕立てた舞台で読み上げた「箪笥」は、演出の勝利と言える。


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